地球温暖化対策として、企業は自社のCO2排出量を削減するだけでなく、カーボンクレジットを活用して排出量をオフセットする手法が注目されています。

カーボンクレジットとは

カーボンクレジットとは、温室効果ガス(GHG)の排出削減量や吸収量を数値化し、取引可能な形にしたものです。企業や団体が自らの排出量を削減するだけでなく、他者が行った削減活動を購入することで、自社の排出量を相殺(オフセット)することが可能となります。

カーボンクレジットの活用方法

1. 排出量のオフセット

企業は、自社の直接的な排出削減が難しい場合、カーボンクレジットを購入して排出量をオフセットできます。これにより、実質的な排出ゼロ(カーボンニュートラル)を達成することが可能です。

2. 自社プロジェクトによるクレジット創出

再生可能エネルギーの導入や森林保全などのプロジェクトを自社で実施し、その結果得られた排出削減量をカーボンクレジットとして認証・販売することも可能です。これにより、新たな収益源を確保するとともに、環境貢献度を高めることができます。

3. サプライチェーン全体での活用

サプライチェーン全体での排出削減を目指し、取引先と連携してカーボンクレジットを活用することで、製品やサービスのライフサイクル全体での環境負荷を低減できます。

カーボンクレジット市場の最新動向

近年、カーボンクレジット市場は急速に拡大しています。2021年には、世界のカーボンクレジット市場の規模が8510億ドルに達し、地域別では欧州連合(EU)が市場の約50%、北米が約30%、アジア太平洋地域が約15%を占めています。

日本国内では、2023年10月に東京証券取引所がカーボンクレジット市場を開設し、2024年4月時点で273の企業・団体が参加しています。

この市場の整備により、企業間でのクレジット取引が活発化し、脱炭素経営の推進が期待されています。

カーボンクレジット活用の課題と対策

1. クレジットの信頼性

カーボンクレジットの算定基準が不明確である場合、排出削減効果への疑念が生じる可能性があります。そのため、クレジットの発行や品質評価のルール整備、プロジェクトのモニタリング体制の構築が必要とされています。

2. 排出削減意欲の低下

低コストでカーボンクレジットを活用してオフセットが可能になると、自社での排出削減努力が疎かになる懸念があります。これを防ぐため、オフセットの活用基準や情報開示のルール整備が求められています。

3. 取引の透明性

カーボンクレジット市場は多様であり、取引実態や価格決定方法が不透明な場合があります。市場取引の標準化や分類化を進め、透明性の向上が重要とされています。

カーボンクレジットは、企業の脱炭素経営を加速させる有効な手段です。しかし、その活用にあたっては、クレジットの信頼性確保や自社の排出削減努力とのバランス、取引の透明性確保といった課題に注意が必要です。最新の市場動向や政策を把握し、適切な戦略を立てることで、持続可能な経営と環境貢献を両立させることが可能となります。